迷える鬼の子

怪しい伝承を知った。
岐阜の加子母という土地では、節分になると子供達が魔除けの札を作るという。細長い紙の上部に鬼の顔を描き、その下に黒い点を13個打ち、下部には五芒星を描く、というもの。
地域の人曰く、13個の黒い点は「鬼は数を数えることが苦手なので黒い点を打つ」という、また五芒星は「鬼が何処から描き始めたのかわからなくなる」という理由で描いたとのこと。

確かに魔除けという意味ではわかるけど、そんなチープな理由で昔から現在まで伝統が続けられるのかという疑問が湧いた。
「数えることが苦手」というのなら、13個と言わず、100でも200でも点を打てばよいと思う。そんなに点を打つのは嫌だ、というのは今の時代の話であって、昔々の話ならば、医療というものがそれほど身近にもなく、ましてや救急車などない時代であれば、点を100、200打って無事13歳まで生きられれば、それほど安いことはない。
また「何処から書き始めたのかわからなくする」のならば、五芒星を選ぶ必要はなく、アトランダムなパウル・クレー的な曲線でもよいのではないか。
という疑問である。

ここからは私の所見。
ぱっと見たところ、なにかだいぶいろんな信仰が混じっているように思えた。
一つには、13個の点に関しては「十三詣で」が関わっているように思えた点である。子供(未就学児)が描くということなので、13歳(数え歳)の元服まで無事過ごせますようにという願いをこめる意味があるのではないだろうか。
二点目に、五芒星に関しては加子母(伊勢神宮に収める木を切り出していた所)という土地柄もあり伊勢神宮との繋がりかとも思ったが、あちらは六芒星なので近からず。それよりも陰陽五行説の鬼門封じということで、晴明神社にもあるように五芒星を用いた魔除けではなかろうか。
という可能性である。

と言った所で、伝承は先の通りなので、伝承を立証することも出来ないし、私論を立証することもできないのが悩ましいのです。