読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

カギユヌクチ

 

Okinawa

Okinawa

 

 

 

 

具志堅京子の唄にはまり、まもなく一年も経とうとしている。


甲高い声と、グィンをしきみながらも、揚々と唄いきってしまうところに、何度聞いても抒情に溢れ、感心してしまう。

南洋浜千鳥に続き、今回はカギユヌクチの歌詞解読を試みたい。

意訳ではあるが、内容を追ってみる。

--------------------------------------------------

「影ゆ残ち」(カギユヌクチ)

1、情のない貴方には、私の苦しみはわからないだろう。朝から晩まで酒を飲み放浪していては、私の心のことは知らないだろう。

 

2、黒縄を腐らせるような女の身だから、嫁姑の仲のことも貴方は知らないだろうし、そんな情け心もないだろう。

 

3、貴方は私のことを女郎の身だからと言って、傘に顔を隠して、後姿の影を残して橋を渡っていった。

 

4、もし橋の淵で立ち止まって、私の心を思ってくれるのならば、どうか戻ってきてください。私の子の元に、思案橋に。

 

※2番「黒網(くるちな)んくたす 女身(いなぐみ)ぬなれや」

に出てくる黒網とはシュロ縄のことを言う。慣用句として女の肝っ玉はシュロ縄を腐らせるほど強い、という意味で使われる。

※4番「橋ふちに立ちゅる 我が心(くくる)知らば 引(ひ)ち戻(むど)ちたぼり 産子元(なしぐゎむと)に 思案橋に」

この思案橋とは、主に遊郭に架かる橋のことをいい、男が行こうか行くまいかと思案した橋という。

--------------------------------------------------

 

美しい歌声とは裏腹に、どこかでみた昼ドラのような場面が繰り広げられている。

思案橋というので、おそらく遊郭が舞台であろう。

酒におぼれた亭主とふと、遊郭で会うが、もはやそこには愛情は無く、しかも女郎をやっている妻を恥じて顔を隠す始末。女は夫の後ろ姿を眺め、せめて子供ところにだけでも戻ってきておくれと、ただ祈るしか出来なかった。

2番まで強がってみたり、僻んでみたりしていた女性も、3番を過ぎたあたりから様子が変わっていく。男には本当にもう愛情もないと理解し、去って行く男の影を見ることしか出来ない。
というのも女郎なので、遊郭から出ることはできないし、同様に、思案橋を越えることもちろんできない。
というわけでの「影ゆ残ち」、残影、消えていったもののなごりということなのでしょう。

しかし、この内容はつらい。

作詞は宮城亀郁さんということ、舞台の脚本を書いている方と記憶している。おそらく、この前後にストーリーがあるのだろう。
遊郭に行くことになった経緯など気になるところである。

 

p.s.慣用句には、まいりました…